日本人ことはじめ講座は、日本人らしさゆえに世界を魅了する無名の日本人を増やします。

<過去のブログ記事を再掲します>

私が使っている路線バスでは、運転手さんが一万円札などの両替に応じられない場合、「次に乗ったときに今回の運賃と合わせて払っておいてください」と乗客に伝える場面をときどき目にします。

実際に先日、ある男性が運転手さんに「さっきバスに乗ったとき、硬貨がなくて運賃が払えなかったので今清算したいんですけど」と申し出ているところを見ました。

以前の私なら、こんな場面を見ても特に何の感慨ももたなかったかもしれません。

でも、最近この手の日本人の行為に対する外国人の驚きに触れることが多いので、これも日本人の正直さの表れだよなーと温かい気持ちになって、まじまじとその男性の顔を見てしまいました。40前後の働き盛りな感じの人でした。

お互いの信頼の上に成り立つ社会は、穏やかでいいものです。

 

 

翻ってフランスの運賃事情(どうしても夫の国との比較になってしまい、ワンパターンですみません)。実は無賃乗車がかなり多いです。

たとえば路線バスだと、手持ちの切符を運転席そばの検札機に差し込んで、乗車日時の刻印を受けます。切符がない人は、運転手に申し出てその場で買った上で、検札機に通します。定期をもっている人はそれをみせればOK。

しかし、どれもやってない人がけっこうな数に上ります。そういう人たちに対し、運転手は何も言いません。下手に注意をすると身に危険が及ぶからです。

実際、運転席の周囲は透明なポリカーボネイト製と思われるシールドでがっちり仕切られています。夫によると、運転手への暴行事件が相次ぎ、このような対策がとられるようになったとか。

「自分の子供のころはみんなちゃんと払っていたし、運転手が危険な目に遭うこともなかったんだけどね・・・」と夫は寂しそう。

地下鉄の駅でも、切符をもたずに改札機を飛び越す人が少なくありません。駅員は見て見ないふり。無賃乗車を取り締まるのは、警察の仕事です。

バスも電車も抜き打ちで警察が巡回しており、そのとき切符を持っていなければ、お縄となります。日本では見られない光景です。

以前、私が電車の改札を抜けようとすると(もちろん切符はもって)、背後から10代とおぼしき女の子が「一緒に改札を通してもらってもいいですか?」と声をかけてきました。丁寧な言葉づかいです。でも、彼女は切符をもっていません。

悪びれた様子もなく、むしろ堂々とした態度に不意打ちを食らって「oui」と言ってしまいましたが、後でその図々しさにむかむかしてきました。「自分で切符を買いなさい」とはっきり言ってやればよかった・・・。

こんな風にフランス社会が不安定になったのは、移民の増加と無関係ではないと思います。フランス政府は必死に否定しますがね。

でも、2年前にフランスに行ったときは、警察の取り締まりが厳しくなったのか、無賃乗車は減った印象を受けました。

そんなわけで、日本では警察が取り締まらなくてもごく当然のことして、皆もれなく運賃を払う様子がときどき奇跡的なことに思えたりするのです。