日本人ことはじめ講座は、日本人らしさゆえに世界を魅了する無名の日本人を増やします。

8月29日(土)、日本人ことはじめ講座「日本の心/伊勢神宮にみる日本文化」が開催されました。

この日の講師は石野浩司先生。大学ではキリスト教を学んだ後、神職として伊勢の神宮に奉職、現在は京都の泉涌寺でお勤めの日々を送るという異色の経歴の持ち主です。

 

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「今日はお坊さんの格好で来ました」と石野先生。

 

日本人ことはじめ講座では、毎年神道に関する講座を設けています。神道が日本人の精神性や生活習慣に与える影響-私たちの自覚の有無に関わらず-は、小さくないと考えるからです。

たとえば「お天道様さまはみている」「もったない」「いただきます」などの言葉、穢れを祓うために身の回りを清潔に保つ習慣、あえて言葉を曖昧にして争いごとを避ける国民性は神道に由来するものだと自覚している日本人は多くありません。

外国人は神道を日本の宗教と位置づけていますが、これを宗教と呼ぶことに多くの日本人はやや違和感を覚えるのではないでしょうか。

それほど無意識に生活の中に溶け込んでいる神道的感覚。先生は神道を「日本人の生き様そのもの」と表現されていました。

冒頭、先生が神宮に奉職しながら皇學館大學大学院課程にいたとき、それまでの教育で学んだ「日本史」は戦勝国側の見方であって、日本人の視点で編まれた「国史」の大事さに目覚めたというお話がありました。

たしかに自国の言語を学ぶ教科は「国語」といいますね。「日本語」というと外国人が学ぶものという意味合いが強くなります。なるほど!

次に、先生が神宮の広報課在籍中に手がけられた式年遷宮に関する記録映像を見ながら解説、神道についてお話していただきました。

 

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ご遷宮の記録映像を見ながら。

 

他の神社とは違う神宮独特の儀礼、神さまに捧げる御装束神宝の話、御遷宮と皇室の関係、神在月など出雲と伊勢の関係についての誤解、ここでしか聞けな神宮こぼれ話など興味深い内容が続きました。

先生によると、前回第61回御遷宮(平成5年)のとき、これを取り上げるメディアはほとんどなく、神宮から東海地方のNHKに頼んでやっと小さなニュースになっただけ。

それが第62回(平成25年)では200社ものプレスが集まり、広報課として対応に苦慮するほど注目されたそうです。たしかにご遷宮の様子は主要な報道番組で中継されるなど大きな扱いでした。神宮への参拝者も年を追うごとに増加しています。

石野先生は神宮がこれほどに国民の関心を集めるようになったのは「日本人がやっと心のよりどころに辿りついた結果ではないか」とおっしゃいましたが、全く同感です。

 

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なにごとの おはしますかはしらねども 

かたじけなさに なみだこぼるる

 

と西行が歌に詠んだのと同じ感覚を、多くの日本人が共有し始めたのかもしれません。日本人が「元いた場所」を思い出せば、この国も正しい方向へ歩んでいけるのではないかと思います。

 

受講者の感想です。

・神嘗祭から新嘗祭の流れがよくわかったし、本来なら自分の祖父母から語り継がれる話だが知らないことばかり。めちゃくちゃ面白かった。

・最近、自分の国のことを何も知らないことに気づいた。本来日本人はお祭りを大事にしていた民族。自分の生活にも取り入れていきたい。

・面白かった!遷宮当日に毎月皇居ご奉仕に行ってる人が皇居内がいつもとは違う空気だと言っていた。皇居内で何が行われているのか気になっていたが、その答えが聞けて興味深かった。

・ざっくばらんな伊勢神宮の神官の就職や仕事の内容など普段聞けない話が面白かったです。

・先日の 講座は大変興味深く楽しいお話の数々ばかりでした。正直いうともっとお堅い小難しいお話かと思っていました。先生も私の想像を裏切ってとてもユーモアのある 楽しい話し口で2時間があっと言う間でした。

・式年遷宮のお話は 一般では知る事が出来ないレアな内容で大変楽しかったです。次の機会があればぜひもっと神道についてのお話を聞いてみたいです。ありがとうございました。

・伊勢神宮のお話もさることながら、先生の歩まれてきた人生話も面白く、今はお坊さんであることに驚きました。神社とお寺、神様と仏様…どちらもご経験され、それぞれどのようなご意見がおありかお伺いしたかったです。第二回も是非開催して頂きたいです。

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ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。