日本人ことはじめ講座は、日本人らしさゆえに世界を魅了する無名の日本人を増やします。

10月7日(日)、日本人ことはじめ講座「日本の句/秋の吟行」が開催されました。今回は俳句結社「大阪百鳥(ももどり)の会」の定例会にお邪魔する恰好で、吟行と句会を実施しました。

午前中は有志で茨木市駅界隈を吟行。茨木童子姿見橋碑を訪れたあと、駅前の商店街を抜けて茨木神社へ。ちなみに茨木童子とは、その昔茨木にいたという「カミソリで人の顔を傷つけ、その血をなめる妖怪」のこと!

 

恐ろしげな伝説とは裏腹に愛嬌のある?茨木童子。

 

神社は七五三参りの家族連れでにぎわっていました。着なれない袴や着物を身につけおっかなびっくりのチビっこたちを見ていると、面白い俳句ができそう・・・・。

 

七五三で賑わっていた茨木神社。

 

 

今年の金木犀は続く台風で洗い流されたのか香りが弱いという話も出て。

 

あらゆる風景や事物に五感を働かせて俳句の題材を探す参加者。

 

約1時間半吟行したあと、ランチ休憩をはさんで句会場へ向かいました。

百鳥の会では、宿題としてあらかじめ作った5句(この日の吟行で作った句を含めてもよい)と、会場で与えられたお題に沿って作った即席の句3~5句を提出します。前者を当季雑詠、後者を席題といいます。

この日の席題の詠み込みは「電」と「林檎」。「電」の字か、または秋の季語である「林檎」を使った句を3~5つ作ります。与えられた時間は約30分。私は4句しか作れませんでしたが、和えの会からの参加者はみなさん、5句作れたようです。すばらしい!

 

大阪百鳥の会、徳永さん。

 

句会は次の流れで行いました。

① 自作の句を1句ずつ短冊に書く。短冊は無記名なので誰の句かわからない。

② ①をシャッフルして1人につき10枚ほどの短冊を割り当てる。

 

自分の句を提出する参加者。

 

③ 各人が②を清記用紙に書き写す。

 

受け取った句を清記用紙に書き写します。

 

④ すべての清記用紙を順次回しながら、各人が好きな句を選んでメモしておく。ただし自分の句は除く。

⑤ ④の中から気に入った作品を8つ選び選句用紙に書き写す。またその中で最も気に入った2句(=「共鳴」と言います)には〇をつけておく。

⑥ 選句用紙に書かれた句を進行役が一つずつ読み上げる(披講といいます)。自分の句が読み上げられたら名乗る。ここで初めて作者が判明する。

⑦ 成績発表。

 

 

百鳥の会は俳句歴何十年レベルのベテランばかりですが、その中にあって和えの会メンバーはお世辞抜きに大健闘していたと思います!!さすが自ら志願してくるだけあるなあと感心しました。選に入ったメンバーの句を一部ご紹介しますね。

 

宮参り林檎のやうに抱かれる子

 

Hさんのこの句は高点句(多くの票を集めた句)になっていました!茨木神社で見た七五三の光景を季語の林檎と合わせて素敵な句に仕上げていますね。私もHさんの句とは知らずに8句選に入れました。「林檎のやうに」とたとえにすると林檎ではなくなり無季語になるのでは?との指摘もありましたが、人によって解釈が分かれるようです。勉強になります。

続きまして、同じく七五三の情景を詠んだSさんの句がこちら。

 

七五三袴姿にサスペンダー

 

貸し衣装でしょうか、ちょっと大きめの袴をサスペンダーで吊るして歩いていた男の子を見てその場で作っていらっしゃいました。袴とサスペンダーのちぐはぐな取り合わせに、思わずクスッとなる微笑ましい句です。

次にYさんの句。

 

よその犬白きを目で追う秋の暮れ

 

犬ではなく、その白さを目で追う。手入れされて輝くような白い毛並みが飼い主との睦まじい関係をも想起させます。またその白と夕暮れのオレンジの対比が目に浮かび、ある種の郷愁も覚えます。

最後に、僭越ながら少々の票を集めた内田の句がこちら。

 

水彩の林檎にブルーのせる筆

 

水彩で林檎を描いたとき、さらに赤を重ねるのではなく、ブルーをのせて熟れた林檎の色彩に深み(紫色)を出したときのことを思い出して詠みました。「この人はきっと絵を描く人だと思う。対象をよく観て描いている様子が伝わり、共鳴にしようかと迷ったくらい」との講評をいただき嬉しかったです。逆に私も思いました。この句に共感してくださる方もまた絵を描く人だろうなと。

ちなみに「電」を詠み込み選に入った内田の句はこちら。

 

傍らに電池積み上ぐ野分かな

 

台風の前、停電に備えて電池を準備した場面を詠みました。野分(のわけ)は台風のこと。秋の季語です。

 

 

面白いのは事前に練って作った句よりも、句会当日に作った句の方が評価される傾向にあったということ。追い詰められたときの閃き、瞬発力の力は侮れません。

俳句はたった17音の中に季語を入れる必要があります。この制約のせいで句が作りにくい、難しいなあと思うこともしばしばです。季語の知識がないと季重なり(季語を複数入れること)になったり無季語になったりします。事前に、仔猫と柿を盛り込んだ句をある方に見てもらったら、「仔猫は春の季語だから秋には使えない」と指摘されました。仔猫は春にしか生まれないから春の季語なんですね!ちなみに、老猫や家猫なら季語にならないので季節を問わずに使えます。

また顔合わせのために参加した8月の定例句会では、狂ったような今年の暑さを詠みたいのに、季節を先取りして秋の句を詠むのが心情に合わず、「俳句は縛りがきつい!自由度が小さくて私には合わないかも」と、イヤになりかけました(笑)

でも作った句を「いいね」と言ってくれる人がいると、またやってみようかなという気になります。定例会は無理でも、吟行などの単発イベントのときに時々参加して、細く長くにわか俳人は続けようと思っています。

 

 

ご参加くださった皆様、ありがとうございました!!みんな選に入りその実力が証明されたので(笑)、この経験を無駄にせず次につなげていくべく、またどこかでご一緒しましょう。

 

<10月23日追記>

句報が届きましたので、大阪百鳥の会 会長・森賀まりさん選の共鳴句をご紹介します。(残念ながら和えの会からのメンバーの句は選出されておりませんが)

 

◎銀杏やバスに乗る人歩く人    

◎秋気澄むショパンてふ名のチョコレート 

◎皮靴と草履を揃へ七五三     

◎実ざくろや足踏みミシン残る部屋 

◎一人居の厚く皮剥く林檎かな   

◎胸元でひと拭きしたる林檎かな  

 

以上